化けたディナー

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 すると教授は苦笑しながら、 「われわれ人間は、形状が少々違っていても、色彩と味覚が良ければ、なんとか食べられる――と良く言われるんだが、それの限界点を、データとして知っておく必要があるからなんだ」 「なるほど‥‥それで‥‥」  その時、レストラン風の実験室で食事を終えた被験者の男は、ドアの向こうで、ようやく脳波測定器を頭から外すと自室に戻って行った。  それを見届けると、教授はメモリーの交換をしながら、 「ところで君は、このデータのコピーを、自宅に持って帰ってるんだって?」 「はい。データを転送装置で、僕の脳にダウンロードして、牛丼やコンビニ弁当なんかを食うと、スゴイんですよ!納豆ご飯がフォアグラやステーキになるんです」  すると教授は笑いながら、 「今度、私もやってみるかな」 「へー、先生も意外と牛丼派でしたか」  その時、次の被験者となる女が入室した。
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