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遠くで微かに扉が開閉する音が聞こえて目を開けた。
薄っすら室内灯が灯る暗い部屋で天井を見る。
見たことがない天井に自分がどこにいるのか頭を巡らせた。
「あっ!寝落ちしたのか!神崎さんっ!」
僕は慌てて起き上がり、部屋の扉を勢いよく開けた。
空になったティーセットが談話室のテーブルに置かれている。
「神崎さん、大丈夫だったのか」
僕は西側の部屋の扉を叩いた。
「神崎さん、大丈夫ですか?」
耳を澄まして室内の様子を窺う。
静まり返り人の気配がしない。
「外へ出たのかな?」
廊下へ通じる扉を開けキョロキョロと左右を確認すると濃紺のドレープがかかった服装の彼女が回廊へ向かうのが目に入った。
「あっ、神崎さんっ!」
僕は慌てて彼女の後を追った。
回廊の途中にある階段を上る姿が見えた。
「神崎さんっ!」
彼女を呼ぶが聞こえていないようだ。
そのまま小走りに後を追う。
屋上へ通じる扉がパタリと閉まる音がした。
「屋上があるんだ」
階段を駆け上がり扉を開ける。
真っ暗な中に見たこともない無数の星が煌めいていた。
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