頭の天辺から足の爪先まで

1/13
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
 私達人種が地中に棲みついて、どのくらいの年月が経っているかなんて誰も知りません。  わかっているのは、地上に出れば拉致される、拘束される、利用される、殺される、また利用される。  地上の人間達にとって私達人種は、貴重な資源なのです。  見た目は地上の人間と大した違いはありません。  なので、あえて区別をするために私達人種を『地中人』、地上の人間を『地上人』としておきましょう。  地中人の、地上人との見た目の違いは、肌が白く、皆容姿が『美しい』とされているところでしょう。  あと細かいところですが、私達地中人の目の瞳孔はまん丸じゃなく、若干楕円。  私達地中人は見た目より、その身体に価値があるとされています。  涙や血液は宝石の元となり、爪や骨は万病薬となります。  地中人の肉を食らえば若返り、臓器や骨髄は拒絶反応が無く、万人への移植が可能です。  手足を失ったものがいれば、地中人のそれを切り取り、数週間も引っ付けておけばなじんで自在に動くようになると言われています。  なぜか私達にとっての自慢の髪は、あまり価値が無いようです。  真っ白で美しいのですけどね。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!