頭の天辺から足の爪先まで

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 ある日、私は地上人に見つかってしまいました。  お腹に小さな命が宿った日の事でした。  乱暴に扱われるかと思いきや、私を自動車と呼ばれる乗り物に乗せ、丁重に扱ってくれました。 「お初にお目にかかります、地中人のお方」  市長と呼ばれるその初老の男は、髪は薄く、肌の色は浅黒く、地中人ではあり得ない太った体型をしていました。  この男が地中に住んだら、通路が塞がってしまうわね。  私は黙って市長を睨みつけます。  ごめんなさい、シャンパ。  とうとう私まで捕まってしまいました。  私達の血を絶やすことになってしまう…本当にごめんなさい。  私は心の中では号泣し、仲間の皆に懺悔をしていました。 「そんな綺麗なお顔で睨まないでいただきたいですな。大丈夫、貴方の身の安全は保障いたしますよ」  …保障?利用しないの?殺さないの?
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