頭の天辺から足の爪先まで

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「ユーラ!」シャンパが部屋から飛び出してきました。 「シャンパ!マーシャは?」 「ママはどこにいるかわからない。だけどママの荷物も持ったから、すぐに避難しよう。大丈夫、すぐにママも追いついてくるよ」  二人分の荷物を下げて、シャンパは更に食料袋も抱えます。  少し前までひょろひょろの弱っちい身体だったのに、いつの間にこんなにたくましくなったのでしょう。 「ユーラ、シャンパ!急ぐわよ!」  お母さんに続いて、Rの区画へ続く連絡通路を目指し、数十人の仲間と一緒に移動します。  シャンパはやはり母親であるマーシャが心配のようで、始終険しい顔をし、時々後ろを振り向いていました。 「みんなでおでかけ?」  幼い女の子は状況を理解、いえ、ご機嫌です。 「そう、みんなでおでかけだね。頑張って歩いたら、ご褒美があるよ」  皆の不安が幼い女の子に伝わらないように、つい口から出まかせを言ってしまいました。  その出まかせに喜び、嬉しそうな女の子の姿を見て、手持ちの物で何かあげられるものは無いか考えながら歩くことになってしまいました。  生きていくうえで必要最低限の荷物しか持ち出していないのです。  可愛い髪留めの1本でも鞄に忍ばせてあれば…と少し後悔しました。
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