頭の天辺から足の爪先まで

　なんて事でしょう。
　私はシャンパを励ましたつもりでいましたが、いつも置いていかれていたシャンパの気持ちを考えていませんでした。
　むしろ、シャンパがよくウチに遊びに来てくれて嬉しい、ぐらいに思っていましたから。

「ごめん、シャンパ。私も、シャンパと同じぐらい子供を大事にしたい」
　しょげる私の頭をシャンパは優しく撫で、
「皆で仲良く暮らせるといいね」と囁いてくれました。

「マーシャ！その男は誰！？」

　先頭にいるはずのお母さんの声が響いて聞こえてきました。

「いやぁぁ！地上人じゃない！」

　お母さんの叫び声が聞こえた瞬間、Rの区画に向かって進んでいた列が急に後退し始めました。

　先に進んでいた仲間達の叫び声の中、確かに聞こえたお母さんの声。
「みんな逃げて！マーシャが裏切って地上人を招き入れていた！」

　シャンパはそれを聞いて立ち上がり、奥へ向かおうとました。
　しかし、逆走してくる仲間達に押され、進めそうにありません。

　ドガガガガガガガッッ!!
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ！！」

　皆が急に走り出し、押し合いになったので連絡通路が崩壊してしまいました。酷い砂煙が上がり、私達は道を絶たれてしまったのです。

「こっちで音がしたぞ！まだ地中人がいるかもしれん！」

　地中で無数につながるトンネルの為、声が反響してどこから聞こえるのかわかりませんが、地上人がまだ地中人を捕獲しようとしているようです。