頭の天辺から足の爪先まで

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 シャンパに言われるまま、扉の向こうにある竪穴の梯子を上ります。  荷物が多く、途中(つか)えてしまいましたが、シャンパが下から支えてくれたので落ちずに済みました。 「痛っ」  頭が天井らしきものにぶつかってしまいました。 「ユーラ、天井に丸いハンドルがあるはずだよ。それを左に回して」 「…シャンパは地上に出たことがあるの?」 「うん、1回だけだけどね」  身体を壁で支えながら、重いハンドルを左へゆっくり回します。 「これ以上…回らないよ」 「そしたら、ぐっと上に持ち上げて」  両手でぐっとハンドルを持ち上げると、その上の部分の天井が持ち上がり、冷たい空気が流れ込んできました。 「寒っ!」  冷たいけど、吸いこめば急に身体が軽くなるような空気です。  重い天井は丸い形をしており、ごそっと外れました。 「…上がって」  シャンパは震える声で指示します。シャンパも寒かったのでしょうか。  重い天井を持ち上げながら、ゆっくり梯子を上ると、そこは『地上』でした。  地面から草が生え、大きな木が何本も育つ広大な土地。  壁が見当たらず、天井はどこにあるのかと思えるぐらい、高い場所にあるようです。真っ黒な天井から小さな光が無数にいます。 「あそこにみえる四角いものが家…つまり部屋。あそこでユーラは暮らすんだ。時々食料調達部隊が利用しているはずだから、最低限の日用品は揃っているはずだよ」 「これも使って」  そう言ってシャンパは、自分の分の持ち出し鞄と食料の袋を地上に上げました。
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