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次の日、私たちはそわそわが止まりませんでした。
夫は休みで、普段はしない散歩なんかに出掛け、私は家事をしながらも、拓実のことばかり考えていました。
どういう顔で迎えたらいいのだろう?怒りはすでに萎んでおり、寧ろ長旅から帰ってくる息子に再会する気持ちでした。
ただし、今回は旅ではないのです。
これは列記とした家出です。
今回ばかりは、しっかりお灸を据えないと。夫からもバシッと言ってもらおう。
私は意を決して、洗濯に取りかかりました。外は快晴。今日も暑くなりそうです。洗濯物を干していると、玄関の方で物音がしました。
「ただいま」
インターホンもない訪問者。
拓実が帰って来ました。
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