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「ここで食べようか」
孫娘に追いついた私は、農場の片隅にあるベンチに腰掛け、ランチボックスを広げました。
「いただきまーす」
孫娘は小さな口を大きく開き、サンドイッチをパクリと一口食べました。それを見て、私も小さく一口、サンドイッチをかじりました。
私は息子たちを自分の色に染め上げようと必死でした。純粋で真っ白な心を、自分の都合のよい色に、本人たちの意向なんて確認することなく。
拓真は順応性が高いのでしょう。文句を言わずに言いつけを守りました。嫌な時もあったでしょう。しかし、長男だからそれを我慢してきたのだと思います。
拓実は違いました。私が染め上げてきた色を上塗りするように、自分で色を塗り始めました。そして見事に自分の色に染め上げ、自分で人生を決めました。
初めは戸惑いましたが、彼の真剣な様子を間近で見るうちに、本当の幸せは彼自身が築いていくものに他ならないことを痛感しました。
獣医学の勉強を始めた彼の眼は、本当に輝いていましたから。
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