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「1週間、なんだな?」
夫は腕組みをして目を閉じたまま、私に問い掛けました。私はかき消されそうな声で、「はい」とだけ言いました。
「1週間以内……、いや5日以内に連絡がなければ警察に行こう。
拓実が希望するなら、居場所の探索はしない。ただ無事であることを知りたい。そうメッセージで伝えてくれ。
拓実は今、自分と向き合う時間が必要なんだろう。誰もいないところで」
夫は大きく1つ息を吐きました。私は泣きそうになりながらも、再び「はい」とだけ答えました。
「俺たちの育て方が間違っていたのかな?」
いつもは弱音を吐かない夫が、初めて言った言葉でした。
『お前の』ではなく、『俺たちの』と言ってくれたことが、せめてもの救いでした。
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