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きっかけはYoutubeだったそうだ。
息子は自分のお気に入りのYoutuberが始めたということで、父親の部屋にあったのが同じカードだから、きっと出来ると思ったらしい。最近はカードゲームがブームになっていると噂には聞いていたが、息子の耳にまで届くとはな、私はそれが嬉しくも驚きでもあった。
私が第一線でしのぎを削っていたころは、私が一番若造で、カードショップに溜まるプレイヤーたちは、年上かつ冷淡で私への優しさはまるでなく、基本的に喧嘩擦れ擦れの日々であった。ゲーム自体も海外発祥でライト層への配慮など一切なく、攻略情報も無い、まさしく手探りの戦いであった。
しかしそれにも関わらず私はどっぷりのめり込んだ。何度カモにされても、何度煽られていても諦めずに挑む姿勢に店の常連たちは興味を持ったのか、次第に声をかけてくれるようになり、私が高校生に上がるころには、私自身がその店の“年上”となっていた。私にもブクブクとプライドが膨らんでしまっていて、俄かには厳しい態度を、甘やかさない態度を、貫いてしまった。
つまるところ、私も嫌なごろつきだった。
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