未練の鎖

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 懐かしい地元の住所が書かれたハガキには、結婚しましたと書かれていた。  そろそろ冬支度を始めねばならないが、どうしたもんかと考えている頃だった。  差出人は倉瀬幹夫。小学校のころからの友人で、高校までは学校まで一緒だった。  その隣に添えられた名前は友梨佳。  旧姓小柳友梨佳といい、彼女は高校に入ってからできた友人である。  二人とも高校卒業以来あっていない。  会おうという気もなかった。無職なので会って楽しむほど懐に余裕もない。  結婚式の招待状も来ていたが、仕事が忙しいという理由を添えて欠席で返事を出した。  無職なのは知られたくなかった。  報告のハガキだって別に欲しくはないのだ。  僕が彼らを避けていることは、きっと気付いているはずなのに、どうしてわざわざ送ってきたのか。  忘れたくても忘れられない嫌な思い出がある。
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