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六、離反
後日正式に、武田を離反することがお義父様から告げられた。
人質はまだ幼い貞昌の弟や私も含め、六名ほどいた。その全員が雁首揃え集められた時点で察したことだろう。
理由は「武田信玄の病死」という、にわかには信じられない事実だった。恐らくはまだ内密にされており、正式な情報かは分からない。
それでも奥平の人間の言う事ならば納得してしまう。皆、奥平の持つ「潮目を見る力」を知っているからだ。
「奥平の繁栄のため、一族の存続のため、皆には犠牲になってもらうことになる。申し訳ないが覚悟を決めてくれ」
お義父様にそう告げられ、私達もそれに頭を垂れて応えた。
貞昌だけは、納得のいっていない表情を浮かべていた。
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