ジョニー・ウォーカーがやってくる! その4

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「ありがとうジョニー。 あなたが素直で、正直で、そして私をみくびってくれたおかげよ」 「アリス、何を言っているんだい? 追い込まれているのは君じゃないか」  ブン、と音がする。『自動追尾』によって飛ばされた木片の音だった。ジョニーは振り返り、左手を振りかざしそれを受け止めようとする。  が、そのブロックはジョニーの腹部(ふくぶ)に直撃する。鈍い音がしてジョニーはよろめく。ジョニーが振りかざしたはずの左手は、肘から先が存在していなかった。 「いッ……は? なんだ? なんで僕の左手が『分解』されて……」 「私の才能は『治す』んじゃなくって『戻す』のよ。 あなたが最初にベルを襲ったあのタイミング。 あの状態まで『戻さ』せてもらったの。 それから……」  アリスのガラス玉が光り、ジョニーが掴んだアリスの右腕が飛んでいく。それはベルの方向へ。既に右足を回収し、メイの元へ辿り着いたベルの方向へ。 「あなたから学ばせてもらった。 例えそれは部分であっても、触れれば才能を発動できるのよね」 「君は……アリス、君ってやつは……ふふ」  ジョニーはまた、高笑いをする。素直で、上品で、狂気じみている。  ぱっとアリスの掴んだ手を振り払うとジョニーは咳払いをしながら(えり)を直す。 「アリス、君、とても良いね。 君に出会えて本当に良かった」  そう告げるとジョニーは落ちた左手を回収する。彼のその姿には、もはや戦意や敵意はなかった。 「おーい、君達。 僕もう帰るから。 アリスに手、返してあげなよ」  右足を元に戻したが、未だ緊張した様子のメイとベルにジョニーは伝えると、手を開いたり閉じたりしながら、ゆっくりと歩いていく。  すぐさまベルがアリスの元へ駆けつけ、アリスの才能によって右腕を元の状態に戻す。 「ア、アリス……あの……なんだ、ありがとよォ……」  気まずそうにベルが礼を言う。 「良いのよ、でもこれで私のことはもう襲わないって約束だからね」  ベルは情けなく眉を八の字にする。 「当たり前だろォ……ほとんどあんたのおかげで助かっちまったんだからさ……」 「たまたまよ、それより私、街に……ちょっと?」  ベルは驚いたような、焦ったような様子で一点を見つめていた。彼が見つめる先で、メイとジョニーが対峙していた。
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