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「死んでほしいと思ったっていいんだよ」
今度は僕が彼の頭を優しく撫でる番だった。
「あなたがしてくれたこと、誰にでもできることじゃない。そんなあなたに僕は一生涯敬意を払いはしても――軽蔑することは決してないと誓うよ。あなたが何を考えたって――例えその考えが神に背いていたとしてもさ、僕はあなたを責めたり咎めたり絶対にしない」
そもそも彼のせいじゃないんだ。
この純粋無垢な人に醜い心を抱かせてしまったのもすべて――。
「九条さん、あなたのいう醜い考えを僕の中に注ぎ込んでしまえばいいよ」
「え……」
「全部飲み込むから頂戴」
僕のせい。
「全部飲み込んでしまうから……僕に下さらない?」
僕ら兄弟の因果のせい――。
彼が戸惑っているから。
僕が彼の上になった。
赤い唇をそっと近づける。
「んっ……」
そして彼の中の悪いものをすべて飲み込むように口づけた。
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