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そして合コン当日、昼1時。
彩音は笹山につれられ仕方なく、待ち合わせのカフェへ入った。店の奥にある広いテーブルに3人の男性と女性が2人向かい合って座り話していた。そこへ笹山が近づいて行き声をかける。
「ごめん、待った?」
すると5人は一斉に笹山に注目し、女性2人が彩音をチラリと見る。笹山が背後にいた彩音を2人に紹介した。
「あ、電話で話した私の親友」
「水川 彩音です。よろしく」
彩音はそこにいた全員に向かってお辞儀をした。すると「よろしく」と皆、にこやかに答える。
女性2人の隣に笹山と彩音が座ると、1人の男性が笹山と彩音に言う。
「もう1人来るんだけど、ちょっと遅れてて。もう少し待ってね」
「はいっ」
2人は同時に返事をした。その男性が続けて言う。
「じきにアイツ来ると思うから、先に飲み物を頼もう」
テーブルにメニューを広げ、一斉にメニューを見て口々に注文の品を言う。別の男性が店員を呼び、1人ずつ飲み物を注文する。男性2人はコーヒー、1人はカフェオレを注文し、笹山の友人2人はミルクティー、笹山と彩音はカフェオレを注文した。
テーブルにミルクティーが運ばれて来て、次にコーヒーとカフェオレが運ばれて来た時、1人の男性が店の中に入って来て彩音達の前に現れた。皆に謝罪する前に、テーブルにカップを置いていた店員に声をかける。
「あっ、ごめん。コーヒーをもう1つ」
「かしこまりました」
男性は立ったまま店員を見送り、先に来ていた皆に謝る。
「ごめん、遅くなった。もう紹介した?」
「いや、これから」
男性が彩音の向かい側に座り、自己紹介が始まる。名前と年齢を言い、職業を言う。
1人目は榎本 由基、27歳、医者。2人目は宇都見 佑太、27歳、弁護士。3人目は新名 皇成、28歳、IT企業。そして遅れて来た4人目は嶺岸 由理、27歳、商社企業に勤務していた。
「商社企業って……ウチと同じだね。もしかして知ってる会社かな…」
笹山がこっそり彩音に耳打ちする。女性達の自己紹介が始まり、大竹 佳奈と竹之内 杏子は26歳で看護師をしている。笹山の大学時代の友人で学部が同じだった。次に笹山が自己紹介し彩音も名前と年齢を言い、笹山と同僚だと話すと、向かい側に座っていた嶺岸が早速反応した。
「なんだ俺達、一緒なんだ。話が合いそうだね」
「そ、そうだね……ははっ…」
嬉しそうに笑って言う嶺岸とは対照的に、彩音は顔を引きつらせて素っ気なく返す。
カフェで話しをして街をブラブラと歩き、通りすがりのゲームセンターに入って少し遊ぶ。
「ねぇ、水川さん、ちょっと来て」
嶺岸に呼ばれ彩音は頷いて、嶺岸のあとをついて行く。
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