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翌日。
「ちょおおおおおおおおおおおおかっこよかったああああああああああああ!」
「だよねえ!」
朝の教室で、あたしは友達二人と絶叫していた。同じ“マリンセス”のメンバーであるジェイ推しの樹利亜と、ケイ推しの小春である。あたし達三人はマリンセスファンとして意気投合し、何度もライブ会場に共に足を運ぶ戦友でもあるのだった。
「マリンセスはいいよなあ。ありがたいことに、毎回生配信してくれるし。ライブ映像の動画とかも、結構公開してくれて超助かってるわ」
うんうん、と頷く樹利亜。
「正直、私達も毎回チケット取れるわけじゃねーし?ファンクラブに入っていてさえ、一枚も当たらないなんてザラだもんな。つか、転売ヤーはマジで滅べ」
「まったくだわ」
「次のライブの抽選も、ものすごい倍率になるって噂だもんね。小春、当たる気がしないよう」
はあ、とため息をつく小春。お金をかけて当選確率が上がるのなら、あたしも樹利亜も小春もそうするだろう。それこそ、ためこんだお年玉をつぎ込むことだって惜しくはない。が、残念ながらお金をかければ当たるかというとそんなことはないわけで。というか、一人一枚ずつしかチケットを予約できないのが問題なのである。自分以外の人のチケットを取るためには、その人の名義で応募しなければならないのが厄介だ。
それなのに、このルールをすり抜けて転売屋が横行する現実が今、大問題になっているわけだったが。
「じゃあ、チケットが当たるかどうか、占いでもしてみっか」
小春の言葉を受けて、樹利亜がスマホを取り出した。何をする気なのかと思えば、彼女は何度か指を滑らせた後に、あたし達にスマホを見せてくる。
そこには黒い背景に、花柄の白いハンカチが浮かんでいる画像が表示されていた。
「“フラワーチェック277”で検索してみ。この画面が出てくるから」
「どれどれ?」
こういう占い系に詳しいのは樹利亜だ。いつも彼女は、その幅広い人脈を駆使して面白い占いを拾ってきてくれる。金運を占う占い、恋愛運の占い、他にもちょっとしたラッキースポットを占ってくれる占いから様々紹介してくれた。まあ、大抵結果が当たるわけではないのだが――それはそうとして、面白いのだから問題ないのである。
そもそも占いなんてものは、当たるも八卦、当たらぬも八卦と言うではないか。
「出て来たわ」
あたしは画面を樹利亜に見せながら言った。
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