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「この画面であってるのよね?」
「うんうん、あってるあってる」
「小春も準備できたよーう。ねえねえ、ここからどうするの?」
「ハンカチが表示されてるだろ?その下に、文字が入れられるバーがあるのが見えるか?」
「あ、うんうん、あるね」
言われるがまま、ひらひらとしているハンカチ画像の下のバーをタップする。すると、上に文章が表示された。
『あなたのお名前は?』
どうやら、最初に自分の名前を入れろということらしい。
「まず、そこに自分の名前を入力。それからいくつか質問に答えていくってだけ。質問は人によって数が違うらしくて、五個から十個くらいだって言われてる」
樹利亜が説明してくれる。
「全部終わって、最後にハンカチをタップするとな?そのハンカチの白い色が、真ん中かわじわーっと別の色に染まるんだって。それが、占い結果。その色が自分の運命を示してるんだと。どの色がどんな運命の暗示なのかは、下に表示される解説を見るとわかるらしい。つーわけで、やってみようぜ。チケットが当たるかどうかでもいいし、なんなら推しと結婚できるかどうかでもいいし!」
「もう、樹利亜ってばー」
笑いながらも、その実あたしはまったく同じ事を考えていたのだった。
チケットが当たるかどうかはとても大切なことだが、それ以上に将来推しと結ばれる可能性があるかどうかが気にかかるところである。
まずは名前を入力。それから、あたしは指示されるがまま質問に答えを入れていったのだった。
『あなたの性別は?』
『あなたが今一番欲しいものは?』
『あなたにとって可愛いってどういうもの?』
『あなたがこの世で一番許せないものは?』
『世の中には許されるべき殺人もあると思う?』
『想像してみて。今あなたのうしろに立っているのは誰?』
『何色の空が一番好き?』
『一番憎い相手を殺すとしたら、どんな方法になる?』
『どうして未成年は成人向けの作品を見てはいけないのだと思う?』
『あなたが今一番望むことは?』
まったく脈絡のない質問の数々。これで何がわかるんだろうと思いつつ、あたしは十個の質問全てを記入してハンカチをタップした。すると。
「ええ……?」
ハンカチが、じわじわと真ん中から消失し始めたのである。色が変わるのではなく、背景に溶けて消えてしまったのだ。なんじゃこりゃ、とあたしは眉を顰めた。その一方で、終わったよう!と小春が声を上げる。
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