そまる、そまる。

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「小春は黄色のハンカチに染まったよ!えっとねえ、“あなたの未来は明るいでしょう。欲しいものが手に入ったり、大切な人と結ばれたりする可能性はありますが、そのためには努力を惜しまないで。たくさんのライバルをはねつけるためには、自分を磨くことが最大の早道です。ラッキーカラーはイエロー、ラッキーフードは味噌煮込みうどん”やったー、小春の好物だー!チケットも手に入るかもしれないってことでいいんだよね?」 「だね!良かったじゃん小春。私は青色になったな。“あなたの未来はまさに未知数。これからいかようにでも色を変えることができます。岐路となるのは、あなたが狙っている次の資格試験。それに合格すれば、あらゆる幸運を引き寄せることに成功できるでしょう。ラッキーカラーはブルー、ラッキーフードはみかんゼリー”。こっちも私の好きな食べ物で嬉しいなあ。つか、もうすぐ私が英検受けるって、まるで知ってたみたい。すげえなこの占い!」 「おお、凄いねえ!」  樹利亜も嬉しそうである。彼女達は正常に結果が出たようだった。あたしは困ってしまって、樹利亜さあ、と声をかけたのだった。 「あたしのハンカチ、背景に溶けて消えちゃったんだけど。これ、どういうこと?」 「ええ?それってどういう……」  樹利亜があたしのスマホを覗きこんでくる。そして、消失してしまっているハンカチの画像を見て、何度も目を瞬かせた。そして、暫し考え込んだ後で、一言こう言ったのである。 「……うん、まあ。こういうバグもあるってことだよ、きっとそう。あんま気にしない方がいいと思うよ」 「……そう?そう、なのかしら。残念……」  通信エラーでも起きたのかな、と。私は残念に思いながら、その占いサイトを閉じたのだった。明らかに、樹利亜が動揺したように笑っていたことに気づきながらも。  その日から、樹利亜と小春の様子がおかしくなった。明らかに、あたしを避けるようになったのである。一緒に帰ろうと言っても、遊ぼうと言っても、用事あがると言って断られてしまう。まるで、あたしをのけ者にでもするかのように。 ――どうしたの、二人とも?  あたしは悲しくて悲しくてたまらなかった。 ――あたし、なんかしちゃった?ねえ、何がいけなかったの?教えてよ、ねえ……。  そして。  そんなあたしにトドメを刺すような、あの事件が起きるのである。
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