安全と実用性

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 ここまで、お読みになってお気づきの方もいるでしょう―――。  造園の仕事は思いの外、出費に手間も多い職業です。  正直言います。  儲かる仕事ではありません。  機械類や必要な車両には定期的なメンテナンスが必要で管理が甘ければすぐに故障するし、刃物もこまめにヤニを落としたり研いだりしないと切れなくなります。  特に機械メンテナンスには、専用クリーナーなどが必要で、フィルターやプラグは清掃を繰り返して、とうとう交換となればそれだけの出費に―――、どれも安いものではなく、手間も時間も掛かります。  勿論、行うに当たり機械に関する知識も必要です。  その他、掃除で使う熊手や箒、ブルーシートも使用した分だけ擦り減ったり穴が空き、機械類には必ず燃料――ガソリンと混合オイルが必要になります。  これはある先輩の話ですが、独立を考えた時、これらの造園道具や設備を整えるに当たり、道具だけでもそれを保管する倉庫がコンテナ一つは必要であることを独立した先輩の家で目の当たりにし、そんな十分な土地も道具の維持コストを賄うだけの資金もないことから起業を諦めたそうです。  造園と言う仕事は、生活環境の維持において世の中に必要な仕事でもありますが、ある種、贅沢な仕事でもあるのかもしれません――――……。
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