母にとどめをさしたのは私

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死んだ母と対面。 物言わぬ母を前にして、泣けませんでした。 やっと母は楽になれたと思いました。 それに泣いている場合じゃない。ちゃんとお葬式をしなくては行けない。喪主は私。 母に心の中で「心配しなくても私がちゃんと焼く。そして骨を収める」だから安らかにと。 ずっと思っていました。 そこから、遺体を清めて貰い病院の先生に挨拶をして。遺体を葬式会場に運び終え、葬式プランを決めました。 今日はそのまま母の遺体を会場に安置。 明日には出棺。 選んだプランはほぼ密葬に近いもので、主に母の仕事場、友人に向けてのものでした。母の関係者へのの連絡はおっちゃんが引き受けてくれました。 母の遺体はスタッフの方によって綺麗な布団の上に安置されていました。 私がそこに下手くそなりに髪を整え。 死に化粧を施すと、生前の母の表情が戻りました。 そこで初めておっちゃんが号泣しました。 きっと私よりも辛いと思いました。 掛ける言葉が見つかりませんでした。 少し落ち着いてからスタッフの方に色々と説明を受けていると、続々と母の関係者が訪ねて来てくれて手を合わせてくれました。 小さい式なのでお香典は全て、受け取りを拒否しました。 ですが、訪問して下さった方達が泣きながら香典を置いて行かれるので断る事が出来ませんでした。 そんな事が夜まで続き、おっちゃんが葬式会場に泊まるから私達は家に帰るようにと言われ、そのまま帰宅。 正直、母が死んだ後の方が大変でした。 私も知らぬ母の友人や電話対応。 火葬場の確認。 保険会社に連絡。 泣くのは後でも出来る。 そう思いながら必死でした。 人生で一番しんどい日でした。
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