60人が本棚に入れています
本棚に追加
ねえ、好きなんだけど。
彼と僕の、ダブル主演の映画を撮り終わって1年。
やっと公開が決まり、宣伝の時期がやって来た。
彼とは以前ドラマで共演でき、それもかなり嬉しかったが、また続けて共演が決まるなんて思ってもみなかった。
前回のドラマの時は僕の方はまだチョイ役で、だけど今回はバディ役なので、立場は昇格!
空き時間だけでなく撮影中も一緒に居られる時間が沢山あって、毎日が本当に楽しかったんだ。
撮影が終わり約1年ほど製作側の作業等が続き、やっと映画が公開される。
公開初日から数日、そしてヒットすれば暫く間を開けて『満員御礼』と、都内、地方の映画館へと舞台挨拶は何日か続く。
初日は監督と主要スタッフ全員。
地方へ何度も足を運ぶのは、監督と主演や助演俳優。
恋愛ものなら、カップルを演じる男優と女優とか。
今回は刑事もののバディだから、彼と僕。
地方への舞台挨拶は、新幹線や車中とか一緒に過ごす時間が長く、いっぱい話せる時間がある訳で。
新幹線の中で駅弁を食べてそれを片付けると、バッグからチョコやクッキーを出して彼の目の前に突き出す。
「食べます? これ美味しいよ!」
「楽しそうだな。遠足に来た子どもみたい」
そう言って彼が笑う。
彼の笑顔は大好きだから嬉しいけど、子ども扱いされた?
少し胸が痛む。
最初のコメントを投稿しよう!