だから歌とダンスはダメだって、あれほど…

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「でも僕……何の取り柄もなくて」 「やってみないと分からないじゃないですか。 君に何かしらの輝き、可能性を感じたんですよ! 難しく考えず、レッスンの見学やワークショップの参加等してみませんか? それから考えて貰えたら」 そう言われて、飛び込んだ世界。 『アキ』さんに憧れたのが一番の理由なのかも知れない。 あんなふうになれたら、どんなに素晴らしいだろうと……。 他人が僕を形容する時は、いつも「可愛い」だ。 「カッコイイ」もないし「男らしい」なんて絶対ない。 つまり顔が中性的なのだ。 実は『アキ』さんも、周りから抱かれるイメージは同じ分類のようで。 普通にしてると、中性的でおっとりしていて、柔らかなイメージしかない。 しかし、そんな見た目のくせに、役に入った途端、脅威の身体能力を駆使して演じるハードボイルドなアクションは、息を呑むほどの迫力で。 僕が普通に思い浮かべるアクション俳優といえば、筋肉ゴリゴリでプロテインばかり飲んでるイメージしかなかったから、最初に見た時は驚いた。 ……かと言ってアクションだけじゃない。『動』から『静』へ。 台詞などなくても、観る者を感情の渦に引き摺り込む表現力。 そこに漂う色気。 それが彼の最大の魅力。 同じようになれるとは思わない。 自分など何をやってもダメダメだと思ってたけど、スカウトマンの「輝き、可能性を感じた」という有難い言葉を信じて頑張ってみようと決意した。
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