だから歌とダンスはダメだって、あれほど…

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「松下く〜ん、大丈夫?」 そんな時、ゆるい口調で声を掛けて来たのが航輝さんだった。 「すみません。全然ついて行けてなくて」 「な〜んも! まだ始まったばっかでしょ? 練習したら何とかなるよっ!」 「早水さん、スゴイですね。すぐ合わせられて」 「俺は高校でダンスやってたから。それだけだよ」 切れ長の目が、笑った途端にタレ目だったっけ? と思うくらい目尻が下がる。 「汗、身体もちゃんと拭いとかないと風邪ひくよ。この仕事、身体が資本だからね。 それに風邪で年越しなんて御免っしょ? 俺はもう一つ持ってるし、返さなくていいから」 航輝さんは笑顔のまま自分のタオルを投げて寄越し、スタジオを出て行った。 たまたま僕がタオルを忘れて、仕方なく着ているTシャツの裾で顔の汗を拭っていた事に、気付いていたのだ。
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