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15 え、地雷系ですか?
「つまりね、この世界に生まれた時から私自身は前世の記憶があったんだよ。でも君は忘れてたでしょ? ホンっとに相変わらず薄情なんだから君って人は・・・ 私は一目で君のことが分かったというのに!」
一方こちら、いつの間にやらソファーの端に追い詰められて王子に両手を握られているカサブランカ嬢。
前世と今生を思い出す限り、恐らく最高峰であろうと思われる美形の元夫にジリジリと迫られ困惑中である。
「は、薄情って言われましても・・・」
「そんな他人行儀な喋り方じゃなくても良いんだよ、前世でも今生でも夫婦なんだからさあ。あ、まだ今は残念ながら婚約者か」
ヤバい! どの過去世の時の旦那だったか顔が違うからわかんねええぇ。
でもわからないって正直に言ったら絶対に地雷踏みそうで怖い~~ ヒイィ・・・
若干引き攣り笑いのカサブランカである。
この元旦那の王子様なんかヤンデレ臭がするぅ・・・ 誰か助けてぇ~!
××××××××××
「だって私はヒロインなんだもんっ!」
突然不貞腐れて駄々を捏ね始めるプルメリア嬢。
「なんじゃそりゃ?」
「この世界は私のためにあるんだから仕方ないじゃないの! そもそもゲームの世界なんだから、私の思い通りにストーリーが進むのが当たり前でしょ!! それなのに何で地下牢なんかに入れられちゃうのよ!!」
可哀想にやっぱり頭のおかしい子に違い無かろうという確信を持って、憐れみの視線を向けてくるオッチャン。
そしてそれを見て、更に頭にくるプルメリア。
「キイイイイイィッ!!」
××××××××××
「だからさ、君を窮地に追い込んだら過去の記憶を取り戻せるから今回は夜会で断罪劇をやったんだよ。ホントにゴメンね」
「え、あれ劇だったんですか?」
「うんそう。参加した学園の生徒達のうち何人かは、夜会の余興で最近人気の小説のお芝居をするってことで前もって説明してあったから、1部は楽しそうだったでしょ?」
若干不満げな顔になる公爵令嬢。
「あんまりにも吃驚してしまって覚えてません!!」
「ああ、ゴメンね。リアリティー無さ過ぎると迫真の演技にならないから、君だけじゃなくって側近と護衛騎士にも伝えて無かったんだよね。それに教えたら君が前世を思い出せるほどのインパクトがなくなっちゃうでしょ?」
そう言って彼女の額にキスを落としてくるフレデリック王子に、タジタジのカサブランカ。
「じゃ、じゃあ、北の離宮に閉じ込めたのは?」
「い~っつも君は前世を思い出すのって翌日の朝だろ? 以前目が覚めた時にいつも通りだったら、思い出さなかったじゃないか。『あ、夢か』で終わらしてさぁ」
フレデリックが不満気な顔をする。
――あ、それ、やりそうだわ私。
と思わず視線を逸らす公爵令嬢。
「無事に思い出せたようで何よりだよ」
いい加減ソファーの手摺ギリギリまで追い詰められているのに、更に笑顔で詰め寄ってくるフレデリック。
ひいぃぃ~・・・ もう動けませんよぉ!!
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