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16 ちょっと待てい!
「そ、そもそも何で1歳年下なのよ」
そうだ、話題を変えてどの旦那だったかを聞き出せばいいんだと思いつくカサブランカ。
結婚相手は殆ど年上だったはず!
「え、だって君より死ぬのが1年遅かったからだよ。君に『私の事を看取ってくれなきゃ結婚してあげない』って言われたからさあ、律儀に守ったんだよ。褒めてくれる?」
うう・・・ わかんねえぇ、しかも大型のワンコが尻尾をブンブン振って褒めてくれる? って目をキラキラさせる姿に見えるのは何故ぇ?
ん? 大型のワンコっぽい旦那といえば冒険者の時の旦那がそうだったような・・・ えーい女は度胸だ。
「じゃ、じゃあさ冒険仲間とかはどうしたの? 最後は皆で最初の街に帰ろうって約束してたよねっ?!」
「ああ、他の連中もちゃんと街に帰ったけど君が死んでから又討伐の旅に出たちゃったよ。私は君の葬儀の後で子供達に財産分与してから後を追って死んだけどね」
「え、何で?」
「だって君のいない世界なんてつまらないよ」
眩しい程の素敵な笑顔でニッコリ微笑むフレデリック。
カサブランカの背筋に冷たい汗が流れたのはきっと気のせいだ・・・
××××××××××
「まあ、嬢ちゃんみたく頭がおかしいンなら情状酌量の余地があるだろうからさ、がっかりしなさんな。きっと王子殿下が考えてくださるよ」
「何でアタシの頭がおかしい事になるのよっ! アタシは正常よ~っ!!」
オッチャンが涙ぐみハンカチでそっと目元を拭う。
「可哀想になあ。おかしい奴ほど正常だって言いはるんだよなあ。大丈夫だ俺も嬢ちゃんが、ここで頭がおかしいと思えるような事をやたら喋ってたってことは証言してやるからなぁ」
「キイイィッ!! 何でそうなるのよ! 責任者出てこいいぃ!!」
××××××××××
「あ、あそうだ。今回のこの世界って18禁の乙女ゲームの世界が元になってるらしいね。ヒロインの聖女が言ってたよ。まぁ彼女は真性のヒドインだったけどねぇ」
「え、今回のって・・・ え?」
突然、スンっと表情が無くなるフレデリック王子。
「だって俺達何回も生まれ変わってるだろ? 忘れたのか?」
「ちょっと! 何で急に俺様口調なのよっ!」
「だって殆ど俺が年上だったからさ~ コッチのほうが地なんだよ」
「・・・・そう」
「うん。そう」
「何回も・・・ って、何回も?」
「うん。そうだよ」
にっこり笑いながら、ソファーに彼女をゆっくりと押し倒すフレデリック・・・・
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