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17 ずっと貴女を愛してる
「いや、待って! 待てい! ちょいまち! ステイッ!」
押し倒されたままで彼の胸を両手で突っ張るカサブランカ嬢。
いやちょっとまって? この人、ビクともしないってどういうことよッ? 今の私は最強の筈っ!! え、ちょっとマジでこの人強過ぎじゃない?!
「なんだよ~ 折角いい雰囲気なのに水差すのは頂けないなぁ。そもそも今生では17年も待ってたんだから、ここまでいい雰囲気なのに今更止めるなよな~」
秀麗なご尊顔で唇をむうっとさせるフレデリック。
普通のご令嬢ならギャップで萌え死んでしまいそうな麗しい表情である。
「ね、ねぇ、何回もってことは、一緒に何回も生まれ変わってる?」
「そうだよ。いつもお前の旦那じゃ無かったけどな。敵役だったり、お前の兄弟子だったり、あーそうだ、ドラゴンだったりしたこともあったな。皇帝とか国王の時もあったわ。1番困ったのが魔王だった時だな。お前聖女でさ、相容れないのに俺の俺様ってばお前に会った途端に勃起しちゃうの! セックスしたら絶対にお互い死んじゃうのに。ありゃあ地獄だったな」
「・・・つまり?」
「お前と縁が深い相手に俺は必ず生まれ変わってるってことさ。お前自身が独身だったこともあったろう? そういうときは大抵敵役だよ。お前に執着し過ぎでそうなっちまうんだろ。きっとさ。人生丸ごとお前に絡みたくって仕方がねえの。俺ってば一途だからさあ」
ケラケラ笑いながら彼女を抱きしめてくるフレデリック王子。
サラリと綺麗なプラチナブロンドが顔に掛かって擽ったくなり、つい顔をしかめてしまう。
「な~んだ、お前ホントは気が付いて無かったのか? やっぱり薄情モンだなぁ。毎回俺の事忘れるの勘弁して? その度に前のシチュエーション繰り返して思い出させるの面倒くさいんだけどぉ」
クスクス笑いながら、顎をクイッとされて軽く唇を喰まれ、一瞬で顔どころか首まで赤くなるカサブランカ。
「俺の愛が届くまで何度でもお前の記憶を揺さぶって起こしてやるさ。言葉なんかよりずっと強烈に届くだろ?」
そう言って抱きしめている身体を1度離して。
彼は指で彼女の心臓を撃ち抜くような仕草をした――
「上辺だけじゃなくって、ココにさぁ。刻みつけたいんだよ俺のこと。今までのことも。勿論これからもな」
カサブランカのハートはどうやら撃ち抜かれたようだった。
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