22 続・悪役令嬢であ〜る

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22 続・悪役令嬢であ〜る

 「何よ! 失礼ねアンタっ!」  いやお前が失礼だろう、と従者2人が胡乱な視線を監獄の中に向けた。  護衛のアレンなんか自慢の剣の柄頭(ポンメル)に思わず手が行っちゃってる。  「ランカ、は最初からずっとこの調子だからあんまり気にしないでいい」  なんとも言えない表情のフレデリック王子。  「この女は、明日でここから出る予定だが、もう身分は平民だし、聖女の肩書きはない」  その言葉に驚きフレデリックの顔をまじまじと見つめるプルメリア。  何処までも不敬が過ぎるその態度に、無言で額に青筋が生まれる従者達。  「え。平民? 聖女じゃない?」  「そうだ。明日正式に通達されるが、お前は聖女としての後ろ盾を失った。教会がお前の擁護を拒否したんだ。余りにも素行が悪すぎるという事と、監督不行き届きで貴族から教会が起訴された。アンタの父親は賠償金で破産したが、文官なので雇い主である王家が不足分は立替をしたよ。勿論その分給料から分割で天引きされるから当分は苦しい生活だな。まあアンタは男爵家とは縁は切れたから関係ないか」  当然だろ? という感じで軽く肩を竦める王子。  「今回の恩赦は俺達の結婚と、俺の成人の誕生祝い、後は国内の暗殺ギルドの壊滅のきっかけをアンタが国に与えてくれたって事が評価された結果だ。もっとも公爵令嬢を暗殺しようとした罪が無くなるわけじゃないから、首の皮1枚で繋がってるだけだがな。それに恩赦っつっても許されるんじゃなくて労役先に送られるだけだ。まあソコで一生達者で暮らせ」 「ええええー! そんなぁ! 私が王子妃になって時期王妃になる素敵なストーリーは何処へ行ったのよっ!」  鉄格子を両手で掴み、隙間に顔を突っ込んで叫ぶプルメリア。  「いや、俺は公爵家に婿入りだし、国王になる訳ねーだろ? 元々王太子の兄貴がいるんだぞ? コイツ、社会の害になりそうだからやっぱり首を跳ねたほうが良かったかな?」  本気で顔を顰めるフレデリック。  「そんな訳ないでしょ!! リセットボタンは何処よっ!! 責任者出てこーい! 運営のスカポンターン!!」  そのやり取りを冷めた目で扇越しに見ていたカサブランカがため息をつく。 「・・・ やっぱりお花畑出身者ですわね。ねえ、アナタ」  叫んでいたプルメリアがキッとカサブランカの方を向く。  「何よアンタ! 悪役令嬢の癖にっ!! 偉そうにするんじゃないわよっ!」  「私が悪役令嬢ねぇ・・・」  後ろで額に青筋を立てる従者2人をどうどうと手で制するフレデリックを横目にニッコリ笑うカサブランカ。  「何故あなたに悪し様(あしざま)に言われなくちゃいけないのかが分かりませんわ。それとこれ、ほんの気持ちばかりの差し入れですわ」  ノインが持っていた小さな籠から、林檎を取り出すと何故かプルメリアに向かって優雅に差し出すカサブランカ。  そして、彼女の目の前でそれを指先で持つと、  『パキンッ』  という音をさせ、赤い林檎を真っ2つに割った。  「え?」  目の前で何故林檎が割れるのだろうと首を傾げる元聖女。  「あら、お分かりになりませんでしたかしら?」  カサブランカは優雅な仕草で首をちょっとだけ傾げると、籠からもう1個林檎を取り出してプルメリアの眼の前でそれを、  「テメェの頭がこうなりたくなけりゃ、大人しく罪を償うようになぁ。仏の顔も3度までって言葉くらい知ってるだろ? ああん?」  と、彼女の耳元で、ドスの効いた声で囁いた。  元聖女の足元にフレッシュなリンゴジュースがポタポタと滴って水溜りを作っていたが、若干湯気が出ていたのは見間違いに違いない・・・・
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