3 ツマリソウイウコトデスカ

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3 ツマリソウイウコトデスカ

 暫し(しばし)、無言で瞑想にふける赤毛の美女は名をカサブランカといい、この国の公女つまるところ公爵の娘で現在の年齢は18歳。  この国の国王陛下の次男つまり第2王子の婚約者であったが、王宮での夜会で聖女を貶めたというでっち上げの咎で囚われ、北の離宮という名の監獄塔の最上階に現在閉じ込められているらしい。  「よし、理解したわ」  余りにもテンプレ。  なんの捻りもないストーリー。  反吐が出る思いをしながら渋顔で目を開けるカサブランカ嬢。  折しも国王陛下も、皇太子夫妻も宰相も、自身の両親も隣国の式典に出席中であり、この出来事は知らないときたもんだ。  これ又テンプレの様式美。  罪状を告げる第2糞馬鹿(クソバカ)王子の袖に両手でぶら下がった金髪に薄いブルーの瞳をした小動物めいた、多分アレが聖女だろうと思われる小娘がニヤリと黒い笑みを浮かべていたのを目に入れて、呆然としているうちに宰相の次男と騎士団長の次男に無理矢理ここへ放り込まれた。  元のカサブランカの記憶がそうなっているのでそうなのだろう。  何度も似たような窮地に立たされてきた彼女? にとって余りのテンプレ通りで(ヘソ)で茶が軽く沸騰しそうである。  「周りの貴族達は止めてたかしら?」  思い出そうとしても、身に覚えのない罪状を突然申し渡されて呆れ返り、放心していたカサブランカはその辺りの記憶がすっぽ抜けていた。  「チッ。使えないわね」  またもや美しい淑女には似合わないお行儀、舌打ちである。  生まれ変わり人生を何度も覚えているとヤサグレてくるものなのだろう・・・・  合掌。
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