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5 政略婚の相手
第2王子フレデリックは、プラチナブロンドにサファイアのような瞳をした容姿端麗の細マッチョなThe・王子様という見た目をしており女性には非常に人気があった。
何時も礼儀正しく紳士的ではあったが、兎にも角にも表情に乏しく、会話するのが勿体無いとでも考えているのかと思わざるを得ない人物だったのでカサブランカは交流時の会話の度に胃が痛くなる思いをした。
しかし、婚約者同士の相性はともあれ、王国の結束を確かなモノにするための協議で決まった、所謂『政治的政略』だ。
その為の駒として選ばれたもの同士、愛し合うとまではいかなくとも互いに信頼できるパートナーとして揺ぎない間柄となるための交流は王都とと公爵領の両方で10日に1回のペースで顔合わせは行っており、順調に親しくなっていたはずだった。
お互いに他人行儀な所はあったが礼節を守ったお付き合いだった様な気がしていたのだが、聖女を貶めたという理由を述べる際に
『田舎育ちの礼儀知らず』
『気を使えないガサツな性格』
という失礼な意味の言葉があったような気がするのだ。
この発言でカサブランカは王子が自分をどう思っていたのかを良く理解できた気がする。
彼の本性が結婚する前に判明したのは僥倖かも知れない、とカサブランカは良い方に考えることにした。
あのまま夫婦になっていたとしたら大変な不幸になったに違いない――
本来なら王子の卒業と同時に彼が公爵領へ婿入りすると決まっていたのだが、もちろん今回の事で御破算だろう。
「さてと、この後はどうしようかしらね」
現在のカサブランカは過去の生まれ変わりの知識と経験、そしてそのスキルを全て魂で受け継いだ存在である。
女冒険者の身体強化スキルもキチンと発動し、あらゆる魔力も十分加わった様だ。
木製の粗末なベッドが一蹴で大破したのは、全くもって偶然ではなく当然の結果である。
第2王子と聖女、そしてその取り巻きは淑女の皮を被った、いや、下手をすると人の皮を被った魔王を召喚したようである・・・
美しい形の、紅を引かずとも見惚れそうな位艷やかな赤い唇がゆっくりと弧を描いた。
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