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6 転生ビギナーのヒロインちゃん
輝く金髪は腰の辺りまでと長く、ふわふわと緩くウェーブがかかっておりまるで柔らかな綿菓子のように見える。
普段はツインテールに纏めてあるが、今日はパーティーのための装いに合わせてハーフアップにしている。
若干垂れている大きく澄んだ瞳は薄いブルーで、まるで夏の海のようにキラキラとしており何処かあどけなさの残る顔と、初々しい表情は彼女の華奢な体付きと相まって見る人に愛らしさを印象付けるだろう。
この少女は宮廷貴族の男爵家の御令嬢で名をプルメリアと言い、この世界に蔓延る魔物を生む温床となる穢れを祓う存在として教会に認められた聖女であった。
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『私ったらこの乙女ゲームのヒロインで聖女じゃない! やだラッキー!!』
幼い頃両親に連れて行かれた教会で光魔法の適性を認められていた彼女が、そのゲームの記憶を強く思い出したのは貴族学園の正門前である。
パンは咥えていないし、入学式に遅刻しそうにも無かったが、この西洋風の世界に似つかわしくない正門前の桜の花が風に舞っているのを見て突然思い出したのだ。
この世界は『聖女プルメリアの愛の奇跡』という乙女ゲームの世界だ。
主人公で聖女でもあるプルメリアが貴族学園内で王子や高位貴族の子息達とめくるめく様な恋愛を楽しみ、彼女が蝶のように次々と麗しい男性を渡り歩くことで全員を虜にしていくことで逆ハーレムエンドも可能という18禁ゲームだった。
まぁ実にテンプレな感じの量産型シュミレーションゲームではあったっが、兎にも角にも登場するヒーロー達の声優陣がエラく豪華だったことで人気がありゲームそのものもより、お気に入りの声優のキメゼリフを聞いて萌えるためのゲームであったと言っても過言では無かった・・・
生前のプルメリアはお気に入りの声優の、アニメでは聞けないような濡れ場のエロボイスを聞くために必死でゲームをクリアした。
それこそ発売と同時に、徹夜続きで衰弱死してしまうくらいにはのめり込んだ。
その死ぬ間際までプレイしていた世界に転生だ――
喜びにうち震えて、正門前で時間を過ぎるのも構うことなく万歳三唱をして喜んでいたのだが、そのせいで入学式を行う講堂に遅刻したのはヒロイン補正かもしれない・・・
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