93人が本棚に入れています
本棚に追加
8 続々・転生ビギナーのヒロインちゃん
第2王子との出会いは、やはり学園内がお約束である。
彼は文武両道の成績優秀者で特Aクラスというエリートクラスに在籍しているが王族としての公務が度々発生するのか、時折学園を休むこともありそれを理由に生徒自治会入りを辞退していた。
この辺りがゲームとは全く違っていた。
本来なら自治会長だったはずの彼と、聖女であり成績も優秀なプルメリアが書紀として仲間となり彼の目にとまる事で、寵愛を一身に受けるというシナリオだったのだ。
今迄は乙女ゲームのシナリオ通りに動けば、イケメンを簡単に籠絡出来てきた彼女にとっては非常に都合が悪い事態である。
なんの努力もなく、出会いのキッカケが転がり込んでくる今までとは勝手が違い、王子の寵愛どころか目にするのも極稀で、見かけたとしても常に側近である宰相の次男と護衛騎士である騎士団長の息子にガッチリガードされているのだ。
もっともそれは、プルメリアだけではなく、クラスの貴族子女全てが同じ状況だったのでなんの不思議もなかった。
彼は学園に入学と同時に、公爵令嬢であり彼のルート上の悪役令嬢でもあるカサブランカと婚約を結んだ為なのか周りが首を傾げる位、異性との距離を取っていたからである。
話し掛けようと近付くとまるで空間そのものに押し出し式機能でもあるかの様に、彼の方がどんどん離れて行くのだ。
1度ばかりか何度も諦めずに建物の影や廊下、実験室に講堂などあらゆる場所で待機して偶然の出会いを装う為の努力はしてみたのだが、どれもこれもスルーされるか空間に呪いでも掛かっているのかと疑いそうになるくらい、スルリと居なくなってしまうのだ。
そして彼の代わりに彼女を助けるのは別のイケメン貴族子息である。
流石R18乙女ゲー。
その辺のモブですらイケメンだらけであった。
そしてイケメンは美味しく『聖女』にいただかれてしまうという繰り返し・・・
まぁ、取り敢えずそんな感じで王子の側付きの宰相の息子も騎士団長の息子も攻略対象者のハズだったが、王子にベッタリと付き従っているため、プルメリアは彼らとも懇意になる隙も当然一切無いままだ。
卒業まであと2ヶ月。
ここまで来ても未だに近づけていない状況にほぞを噛む思いの彼女であったが、やっと悪役令嬢を利用する事を思いついたのである。
最初のコメントを投稿しよう!