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(一・二)東京
なんだかね、やっぱり、東京着いたのはいいけれど、宛てなどある筈もなく、行き成し路頭に迷う。って最初っから分かってたことだからさ、とりあえず雪別離の浜辺でやってた要領で野宿しながら、東京の公園を転々としたんだよ。だけど同じ野宿でも全然勝手が違い過ぎてさ、何しろ海の音はしない代わりに、足音はするわ話し声やら電話の音はするやら。えらい騒々しくて、ぼくはノイローゼ気味になった位さ。
そこは俺の縄張りだ、どきやがれーっと同業者に怒鳴られたり、ここで寝泊りしてはいけませんとご丁寧にとんとん警察に肩を叩かれたり。果てはガキどもに殴られ蹴られ、ふう何度も死ぬ目に遭ったよ。だけどそんな死にたい気分で一杯の時、誰かが教えてくれたんだ。東京で野宿するなら、新宿行きなよ。施設でシャワーは使えるし、炊き出しも頻繁にあるしね。それに、あそこにゃ夢の丘公園ってのがあってさ……。
そこでぼくはびんびんと来た。新宿、夢の丘公園、確かになんか良さそうな響き。そう思った途端、突如うきうきベリベリハッピーあるよな気分に襲われて、ぼくは文明崩壊後のユートピアを目指すが如く、てくてく、てくてく幾日幾夜歩き続けながら、遂にこの地、夢の丘公園に辿り着いたという訳なのさ、じゃんじゃん。
でもね、実は東京来てからひとつ気付いたことがあるんだ。それはね、やたら東京の夜が目に沁みるってことなんだよ、ちかちかと眩しくってさ。何でそんなに目に沁みるかっていうと、無数の光が瞬いているから。丸で冬の夜空に広がるギャラクシーのようさ、なんてね。
でもお言葉ですけど、東京の夜ってのはさ、元来目映いの。何たって大都会なんだから。ことに新宿なんて街に至っては摩天楼やら盛り場やらが新宿押し、ってそれを言うなら目白押し。どうせ大方乱立する街灯、ビルの灯り、ちかちか派手派手ネオンライト、渋滞する車のヘッドライト辺りなんじゃないのって。いやいや、それが違んだよ。
じゃ一体何だっていうと、何だと思う。ふざけんな、分かんねから聞いてんだろ。ま、そうかりかりしなさんな旦那。その無数の光の正体とは、実は、人の涙でござい。ええっ、何言ってんだお前、あほか。ま、そう思うのも無理ない無理ない、でもこれほんと。その涙ってのがしかも、人前では見せない人知れず零す涙であり、或いはぐっと堪えて心の中でだけ流す涙だったりする。へえって、もっと吃驚してよ。で、そんな人の涙の瞬きがあたかも夜の海の潮騒のように、幾数千万も無数無辺にここ東京の夜の果てまでも広がり、きらきらと瞬いているんだよ。そりゃもう息を呑む眩し目映さ。
へえ、凄いね。でもさ俺にゃ何にも見えねえよって。そりゃそうさ、普通の人には見えないもんだよ。だけどこれも内緒の話、ぼくには見えるんだ。何が、だから隠れた人の涙が、はっきりとこの目に光として映るんだよ。まさかって、そりゃ信じらんないよね、未だにぼくだって疑っている位なんだからさ。
分かった、でもそれって生まれつき。ちゃうちゃう、だからほら、多分あの時からだと思うのな。思うのなって、北極の氷に頭ぶつけた、あん時のショックから。成ーる程。ねえ、でしょ。うん、でも、あれっ、だったらさ、何で東京来る以前には気付かなかったのって話。
あ、そう言われてみれば確かにそうだ、何でだろ、摩訶不思議。何しらばっくれてんだよ。多分思うに、はるさんの村とか人口少ないべ、だから村の人の涙を見ても、家の灯りとか漁港や船の灯り、村にあるささやかな盛り場のネオンかなんかだとばかり、錯覚したんだよ。でもきっと村の人たちの涙だったんだね。ああ、しまった、ちっとも気付かなかったよ。その中にははるさんの涙なんかもあったろうに。
さ、これで超能力の話はお終い。現実に戻ろう。
まあそんな訳で、なんだかね、やっぱり、多分推定年令三十歳位として、ぼくは東京新宿は夢の丘公園で野宿を始めたんだよ。でも最初の頃は、泣いてばかり。えっ、野宿生活が辛過ぎるからだろって。ちゃうちゃう、さっきも話した通り、夜毎無数の人の涙が見えてしまって、ついもらい泣き。今はもう随分と慣れたけどね。
そんな辛い夜は海の音が聴きたくなるけど、海にゆくには生憎新宿って街は海に遠過ぎて。だから代わりにぼくは、ラジオを聴くって訳。何でか分からないけど、寂しい時は無性にラジオが聴きたくなるんだよ。えっ、ラジオなんて高価なもん、どっから手に入れたんだよって。まさかぱくった訳じゃねえよな。残念ながらそんな度胸はないと来ているぼく。もらったのさ。誰に。新宿来る前品川の公園で野宿してた頃、酔っ払ったサラリーマンのあんちゃんから、どうせ何にも楽しみねえだろ、これでも聴けよって。単三電池一本で聴ける小型の、ほら、これ、な。電池ワンカートン分とセットでさ、有難くもくれやがった次第。くー、泣けるぜ、まったく、この東京砂漠、他人地獄にあって、渡る世間鬼ばっかしでもないらしい。
ラジオを聴いていると、何処からか風が吹いて来るような気がするんだ。さわさわさわーっと例えばさとうきび畑を駆け抜ける風に吹かれているようなそんな気分。何でさとうきび畑なのかは定かじゃないけど、浮かんで来るんだなあ、この頭ん中にさ、ばっちしと。風はねさとうきび畑を駆け抜け、青い海の潮風に吸い込まれてゆく。その海辺にはいつもひとりの女が突っ立っていて、潮風に振り向くと女の長い髪がきらきらと、夕映えを反射させた海の波間に煌めいて、女はぼくに向かって笑い掛けるんだ。うん、ラジオを聴いてっと、いつもそんな景色が浮かんで来るんだよ。
おっといけない、ラジオの話はこれ位にしておいて、ええと何処まで話したんだっけ。そうそう夢の丘公園で暮らし始めたとこだったね。でも野宿ってもぼけーっとしてるだけじゃ食ってけないし、お天道様にも申し訳が立たない。そこで一日中公園でぼけーっとしている連中を尻目に、夢の丘公園の先輩に連れられ、アルバイトに出る。
主に工事現場の手伝い、きついけど、いい稼ぎになるよ。これだけあれば、酒もハイライトもやらないから何とか食っていける。いやそれどころかお釣りが来る位。それに噂通り新宿区の自立支援センター『希望の翼』でシャワー使わせてもらえるから、体も清潔。
とか何か言うとすっごい楽勝、ストレスなんざ無縁な極楽生活みたく聴こえるけど、そんなことは決してなく、雪別離の村では夢想だにしなかった或ることがぼくを悩ます。それは、その或ることとはじゃーん、ずばり、人付き合い。あへっ、これが実に厄介。やれ、おいバイト行くぞ、飲み行くべ、金貸せっていうか奢って、ごみ漁り行くよ、ってな調子で何かとうるさい。
ぼくもまだ新入りだから、最初のうちは、はいはい、いい子で付いて行ってたけど、段々と鬱陶しくなってね。ぼくなんか性善説、人を見れば、みんなはるさんみたいに良い人だって信じちゃう方だから、随分と嫌な思いもしたしさ。貸した金は返さない、人の物は勝手に使う、文句ばかり言う、指図、命令、人のことばかにして大笑い。ひとりでぼけーっとしたい時も遠慮なし騒ぎに来るし、しかも女だとか、競輪競馬、その他詰まんね話ばっかだしさ。
あーあ、面倒臭、鬱陶しい。これじゃ何の為に野宿してんのか、ちんぷんかんぷんよ。ちっとも自由じゃないやって、やんなっちゃった。人間不信、人間嫌いってやつ。
またどっか引っ越すか、でも何処行っても結局同じじゃない。世間のしがらみってやつは、きっと何処行ったって多かれ少なかれ、あるんだよ。特にこんな大都会東京じゃねって。あーあ、こんなことなら雪別離の海辺に死ぬまでいりゃ良かったんだよ、まったく。って悔やんだところで後の祭りのお富さん、じゃないおはるさん。
あーあ、どうすっぺ。人と一切関わらず天涯孤独で生きてゆく、そんなご都合の良い方法はないもんか。きょろきょろきょろと公園を見回していると、またうるせえやつらがやって来て、うだうだうだっと下らないお喋り始めやがるんだ。折角今宵はゆっくりと満天の銀河でも見ながら、ロンリネスに耽りたかったってのにさ。
なんだかね、やっぱりと、そんな矢先、アルバイトの工事現場でひとりの青年を見掛けたんだよ。ぼくとおんなじアルバイト、名を水野くんっていうんだけれど、仕事は真面目で指示された通りをきちんとこなしている。だから評判も悪くない。だけど水野くんは凄いお喋り、しかもよーく見てると独り言、絶えずひとりで何かぶつぶつと呟いているんだ。
最初は話し掛けられてんのかななんて思って、何ですかって返事しちゃった位なんだけど、違ったみたい。どう見てもやっぱり独り言。水野くん自身は真剣に誰か、多分大気中にちゃんと存在していて水野くんだけには見える透明人間さん相手に話し掛けてるんだろうけど、はた目には誰もいないから、あれっ、やっぱり水野くんって変な人じゃんてなっちゃうんだよね。
でもそんな水野くんを誰も悪く言ったりはしない。だってちゃんとやることはやっているから。口の方はそうやってぶつくさ独り言で忙しくても、手足は休まず荷物運んだり掃除したり後片付けしたり。ミスもないし、仕事もきれいだし、人には迷惑掛けないし、むしろ作業のとろいぼくなんかを手伝ってくれたりするんだよ、偉いよね水野くん。
そんな摩訶不思議な水野くん、人間的にもいい人っぽいし親近感も大いに湧くしで、ぼくなんかついついお近付きになりたくて、アルバイト終わったら一緒にお茶しませんかなんて誘ってみたんだ。そしたらいいよって、ちょうどぼくもお茶したかったところと水野くん快諾。で場所は新宿駅構内のベンチ、絶えることのない水野くんと透明人間さんとの会話の合間をぬって、いろいろとインタビューしたところによりますと、はい。幼い頃からずっとこんな調子だったそうで、お前さ、どっか行ってひとりで生きてってくんないと家族に見放され、自分でも迷惑掛けまいと、現在はアルバイトしながらアパートで一人暮らししているそうだ。
そうか、ぼくも記憶喪失なんだけどお互い大変だよねと労い、でもアルバイトの少ない収入だけじゃ東京でのアパート暮らしは大変なんじゃないのと心配すると、実はこういう訳なんだよと事情を説明してくれた水野くん。それによると専門の医師の診断では確かに水野くんは一種の病気だそうで、でもそのお陰で生活保護が支給され、何とかやっていけてるという。
ふーん、病気かあ。人目は気にならないのと問うと、水野くん、全然平気と笑ってみせる。だって自分は普通の人間だと信じているからだそうで、ぼくもそう思うと相槌を打つと、だけど他の人はそうは思ってくれず、ばかにされたり敬遠されたりするそうだ。へえ、敬遠ねえ、敬遠……。ん、その時ぼくの中でびびびっと高圧電流がショートして、あっこれだっと閃いた。
そっか、こうすりゃ人から敬遠される訳ね、よしよし。じゃぼくも水野くんみたいにしてみたらどうだろう。そしたら公園の連中から敬遠されて、あわよくば鬱陶しい人付き合いから解放されるかも知れないぞ。ぴんぽん、ぴんぽん、まじですか。少なくとも試してみる価値はありそう。良し善は急げとばかり、早速次の日からぼくは変な人の真似事を始めたという訳。元々神経質ノイローゼ気味なぼくだから、ノイローゼの振りすりゃいいかなって、それをもうちびっと大袈裟に誇張してやれって感じ。えっ、真似事とかノイローゼの振りとかって、じゃあ何かい、もしかしておっちゃんのそれって、お、し、ば、い。そう、面目無い。でも感動を覚える程に効果はてきめん。
例えば相手が、おい、金貸せ、と来る。ぼくは、なんだかね、やっぱり、金って何ですか。はあ何言ってんだ、お前あほか。あほって何ですか、ねえねえ、あほって。あほで駄目ならばかか、いいからつべこべ言わずに金貸せ。だからなんだかね、やっぱり、金って何ですか、どうしてこの世にお金なんて存在するんですか。そんなこた知るか、ああうるせえ、ははーん、お前あれだな。あれって何ですか。だから俺に金貸したくねえもんだから、そんな狂言してやがんだろ。狂言って何ですか。ええい、やかましい、いいよ、もう。
次に、あ、わりい、おめえの石鹸借りたから、と来る。そしたら、なんだかね、やっぱり、じゃ返してとぼく。返したじゃん、そこに。じゃなくて使った分も返して。何言ってんだ、この蛸、だからてめえは蛸なんだよ。でも借りたって言ったでしょ、だから返して、返して、返して。うるせえな、じゃ言い直す、使わせてもらった、あんがとよ。なんだかね、やっぱり、あんがとよで済めば、警察いらないって言うよ。ああ警察だと、じゃ何か、おめえ、俺が石鹸盗んだとでも言うのか、え。でも減ってる、ぼくの石鹸、石鹸が減ってるお、どうして、どうして、もしかして魔法の石鹸。分かった分かった、もうおめえの石鹸二度と使わねから、あばよ。
それから次に、おう蛸よ、きさま近頃ノイローゼなんだってな、と来たら、なんだかね、やっぱり、ノイローゼって何ですか。おっやべ、行き成し来やがった、なんか悪いもんでも食ったんか。悪いもんって何ですか、何ですか、何ですか。そう興奮すんなよ、なあ仲良くやろうぜ兄弟。兄弟なんかいません、兄弟兄弟何ですか。おお分かった分かった、そうやって一人で喋ってろ。
次に、よう蛸ちゃん、一杯やろうぜ、花見だ花見、と来る。そしたら、なんだかね、やっぱり、一杯ってどんだけですか、駅前のかけそば一杯、それとも目一杯、花見って何が一体面白いんですか。はあ、何訳の分かんねえこと言ってんだよ。ぎゃーっ。どうした。恐いよ、桜の木の下には死人がいるってよ、満月の下にはほら狼男だ、助けてーっ。とばたーんと地面に倒れて死んだ振り。あーあ、蛸とうとうご臨終かい、ご愁傷様、ひとりで死んでろ、蛸野郎。
とまあ、こんな感じで日々努力精進。その甲斐あって、みんなから疎ましがられ、遂に夢の丘公園の人付き合いから見事解放されたとさ、先ずは目出度し目出度し。こうして昼間はせっせとバイトに励み、夜はのんびりと公園の片隅で一人気楽にロンリネス。大都会東京の孤独が似合う男、矢吹丈にも負けない、その男の名は田古八男であった、じゃん。
でバイト代は入っても出費は極僅かだから、実は贅沢な悩みなんだけど金が余って余ってしょうがない。それに現金なんぞ所持していたところで、盗まれるのが落ち。だったらどうすっべ。そうだ、こういう時こそ世話になった雪別離のはるさんに恩返ししよう。そう思い立ったが吉日、ぼくも大都会東京で出世したよと大法螺吹いて、はるさん宛てに仕送り開始。月十万円程を現金書留で送ったよ。
そんなこんなで、あっという間の三十代。年月は夢幻と流れ去り、気付いたら三十八。思えば一番楽しい季節、これが青春ってやつだったかも。
ところがところが、それまでの重労働、無理して肉体労働続けて来たのと、加えて普段からの不衛生極まりない暮らしが祟ってか、物言わぬ体が或る日突然言うことを聞かなくなり、がたがたがたっとガタが来て、バタンキュー。バイトどころの騒ぎじゃない。ふーふー唸って一日中絶対安静モードに突入と相成ったとさ。
ところが更に悪いことに見事普段の行い、付き合いの悪さが祟ってか、夢の丘公園の誰一人として相手にしてくれない。見向きもされず、どうせあのばかの狂言、猿芝居だよ。いいから放っとけ放っとけ、あんなやつ、で終わり。ざまあ見ろ、これも自業自得、お望み通りひとりぼっちにしといて上げようぜ。
そんなバハマ、絶体絶命のピンチではあるけれど、そこまで言われたらこっちも男の意地、だーれにもたよんねーよ。いろいろあったけど良くまあここまで生きてこれた、もう何も未練はないし、いつ死んだっていい。そんなお得意の開き直りで心安らかに死を待つことに。さ、このまま、ここ新宿は夢の丘公園の片隅で、三十八歳という、この年齢だってかなりあやしいけど、短いのか長いのか定かでない、半端な人生を今全うしようとしています、ちゃんちゃん。
でもまじやばい。お金も底を突いて、食べものは買えないし、ごみ箱を漁るだけの体力も気力も残っていない。ところが、なんだかね、やっぱり、世の中にはいい人って呼ばれる人たちが本当にいるもんで、所謂ボランティアとかNGOっていうの。そういう人たちがいて、ここ夢の丘公園にもパトロールとか炊き出しとか来てくれるじゃない、うんうん。でその中の一人でNGO『新宿ヒューマンライフ』の三上さんが、はたとぼくの異常に気付いてくれて。
どうしたんですか。いや、いいんだよ、ぼくのことなんか気にしないで。どうせ、もう死んでく身だし、何も思い残すこたないから。そしたら三上さん、駄目ですよ、諦めちゃ、ファイト田古さん。なんて励まし始めるんだ、参ったね実際。若いっていいななんて、三歳位しか違わない筈なんだけどね、ついほろっと来てしまいそうになった位だよ。あっ、そう言えば三上さんと着ぐるみマンさんて、確か同い年なんだよね、ってどうでもいいか。
病院行きましょうよ。嫌だ、ぼくは医者と坊主は大嫌いなの。そんなとこ行く位なら、野垂れ死にした方が遥かにマシだよって、ぼくも頑固者、てこでも動かない。そこで三上さん、新宿ヒューマンライフのみんなと話し合い、その結果、NGO名義で安アパート借りるから、そこに移りませんかっていうの。
ええっ、でも悪いよ。赤の他人のみなさんの世話になるなんて。それに家賃だって払えねえしと断るんだけど、三上さん目をうるうるさせながら、田古さん、ここでこんな生活してたら治るものも治らない、本当に死んじゃいますよ。ねえ、家賃のことだってバイト出来るようになるまでは、ぼくたちが何とかしますからって、熱い三上さんのハートにじんじんと打たれ、ぼくにもうるうるが伝染して、分かった、きみって本当にいい人なんだなあ。きみを信じるよって、その場の乗りでアパートの件、つい同意してしまったんだ。
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