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エピソード1
その日は連休初日の朝だった。
『拓真。この間買ってきた新しい服を着るんだ』
そう言って父親は洋服ダンスの中から、まだ値札の付いたままのポロシャツを取り出した。
『下は・・・。いつものデニムパンツでいっか』
自分1人が納得した表情でデニムパンツを取り出し、拓真の目の前に広げた。
準備された服を着ると、父親は嬉しそうに、『なかなか、似合っているじゃないか』と、嬉しそうに呟くと、『もう行かないと間に合わないなぁ』と壁時計を見つめながら言う。
拓真と父親は車に乗り込むと、父親の趣味の音楽を聴きながら、車は快晴の中走る。
30分位車は走ると、横浜で一番大きい動物園に着いた。
駐車場に車を停めると、拓真と父親は動物園の入口に向かって歩いた。
動物園の入口に、女の子2人と一緒に立っている女性の姿を見つけた。
拓真は、その女性の顔を見たことがあるので覚えていた。名前は確か・・・、『ゆかりさん!』と、思い出そうとしていた拓真の隣で、父親が大きな声で叫んで女性を呼んだ。
『そうだ!確か、本木ゆかりって、名前だった・・・』
拓真は、ゆかりの前に立つ、2人の女の子に視線を向けた。
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