2章

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…眩しい。暑いし。喉も乾いた。 あれ、もう朝か。ん?朝? うわぁぁぁぁぁぁぁ 勢いよくがばっと起き上がると、そこは自分のテントの中だった。 周りを見渡しても自分しか居ない。 斎藤はもう帰ってしまったのだろうか。 ・・・やってしまった。あの後また寝転んで星なんか見たから、そのまま寝落ちしてしまったのだ。足だけ入れていたテントの中に、ちゃんと入って寝てるということは、自分で無意識に起きて入ったのか、それとも斎藤に迷惑をかけてしまったのか、どちらかなのだろう。どちらにしても、斎藤は困っただろうし、きっと呆れてる。もう会えるかどうか分からないのに、なんて馬鹿なんだろう。 膝を抱えて一人反省会をしていると、テントの外から 「起きたか?」 という斎藤の声が聞こえた気がした。 まさかと思いながらも、這いずり出ると、顔を洗ってきたのか、前髪から水滴を垂らしている斎藤がいた。 「斎藤さん?」 「あぁ おはよう」 「おはようございます。てか、すいません。昨日あのまま寝ちゃったみたいで。もしかしてテントの中に運んでくれました?」 すまなさそうに尋ねてくる祐介に 「…。そうか、あれは無意識だったのか」 とキョトンとしつつも口許は少し緩んでいる。どうやら怒られてはいないようだ。 「帰ろうと思って、寝てる君に一応声をかけたんだ。そしたら、君は起きて一人でテントの中に入って行ったんだ。で、じゃぁ と声を掛けて立ち上がろうとしたら、君がテントの中から俺のTシャツの裾を握って離さなかったんだ。どうせ俺も今日の昼まで予定は無かったし、せっかくだからテントで寝てみたかったので、勝手にお邪魔して寝てしまったんだよ」 そこまで言うと、とてもおかしそうに噴き出して笑いだした。声を上げて笑う斎藤のTシャツの左側の裾は、祐介が握りしめた名残なのか、いびつに伸びていた。 「もしかして、ずっと握ったままでした?本当にごめんなさい。その服弁償します」 ショボンとして言う祐介に 「じゃぁテントの宿泊代でチャラで良いよ」 そう言って尚もおかしそうに笑いながら、頭をポンポンとなでてくれる。親や、友達に頭を撫でられるのは、馬鹿にされてる気がして嫌だったが、昨日も今日も、斎藤に頭を撫でられると、こそばゆい様な、嬉しいような、自分を肯定して貰えている気がして、もっとずっと撫でて貰いたいと願ってしまうのだった。
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