3章

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帰宅してすぐ、相談したいことがあると斎藤にメッセージを送ると、手が空いたら連絡する と返事が返ってきた。 いつもは親から、早く入れと急かされるまでのんびりしているが、今日は晩御飯を食べると早々に風呂に入り、いつ斎藤から連絡が来ても良いように準備万端整える。 ソワソワと落ち着かないので、勉強を始めてみたが、スマホが気になって仕方がない。一問解いてはスマホを確認する。通知音が鳴っていないのだから、連絡がきているはずがないのだが、それでもひょっとしてなんて事を思ってしまう。 結局何も手につかず、ベッドに仰向けになってゴロゴロと転がりながらスマホの画面を眺める。そこには斎藤と一緒に撮った花火文字の写真が表示されていた。 勝手に壁紙にしちゃったけど、良いよね。 夏の思い出に浸っていると、着信を告げる通知音と共に斎藤の名前が表示された。 「こんばんは」 素早くタップすると同時に起き上がり、電話に出る。 斎藤は少し言葉に詰まっていたが 「…出るの早いね。びっくりしたよ。ごめん随分待たせてしまったかな」 と笑っていた。
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