3章

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「良いとこだと思う。うちの他にも大学結構あるから、街全体が学生に優しい傾向がある気がするし。」 誠実な斎藤がそう言うなら、本当にいい街だという気がして、更に興味が涌いてくる。 「そうですか。ちなみに斎藤さんの大学の学祭っていつあるんですか?」 斎藤の大学に行ける学力は到底無いので、ただの好奇心で聞いてみただけだったのだが、 「10月第2週の土日だけど…。来てみる?」 と、特に迷惑そうに思っている感じも無く返事が返ってきた。 そう言われると、途端に行ってみたい思いが沸き上がってくる。 「良いんですか?行きたいです。…でも、お邪魔じゃないですか?」 飛び上がって図々しくなりそうなところをグッとこらえて、少し遠慮した風に聞いてみると 「いや、自分の持ち時間が終われば何もする事無いし。そうだ、折角だから他の学校もついでに見て回る?土曜なら学生もチラホラいるから、雰囲気位は分かるかもしれない」 想像以上に優しい言葉が返ってきた。 この話の流れだと、学祭だけでなく、それ以降も祐介と一緒に行動してくれそうな雰囲気だ。 でも、いかに面倒見の良い斎藤だとしても、そこまでしてくれるだろうか。もしかしたら、自分の早とちりかもしれない。そう思い直し、でも、期待を込めたまま 「もしかして、一緒に行ってくれたりとかしますか?」 と祈るような気持ちで聞いてみる。
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