18人が本棚に入れています
本棚に追加
「良いとこだと思う。うちの他にも大学結構あるから、街全体が学生に優しい傾向がある気がするし。」
誠実な斎藤がそう言うなら、本当にいい街だという気がして、更に興味が涌いてくる。
「そうですか。ちなみに斎藤さんの大学の学祭っていつあるんですか?」
斎藤の大学に行ける学力は到底無いので、ただの好奇心で聞いてみただけだったのだが、
「10月第2週の土日だけど…。来てみる?」
と、特に迷惑そうに思っている感じも無く返事が返ってきた。
そう言われると、途端に行ってみたい思いが沸き上がってくる。
「良いんですか?行きたいです。…でも、お邪魔じゃないですか?」
飛び上がって図々しくなりそうなところをグッとこらえて、少し遠慮した風に聞いてみると
「いや、自分の持ち時間が終われば何もする事無いし。そうだ、折角だから他の学校もついでに見て回る?土曜なら学生もチラホラいるから、雰囲気位は分かるかもしれない」
想像以上に優しい言葉が返ってきた。
この話の流れだと、学祭だけでなく、それ以降も祐介と一緒に行動してくれそうな雰囲気だ。
でも、いかに面倒見の良い斎藤だとしても、そこまでしてくれるだろうか。もしかしたら、自分の早とちりかもしれない。そう思い直し、でも、期待を込めたまま
「もしかして、一緒に行ってくれたりとかしますか?」
と祈るような気持ちで聞いてみる。
最初のコメントを投稿しよう!