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ヤバい久しぶり過ぎてテンション上がって飛ばし過ぎたかも。
片道15キロという決して近くはない距離と、背負っている荷物(テント、寝袋、ランタン、文庫本、食料品、食器やタオル等)総重量約10キロ、いつもと同じ道、同じ装備で特に問題は無いはずなのに、今日に限ってペダルが重い。模試の結果がまずまずだったことから、心置きなくキャンプを楽しめるという解放感で、いつもよりも浮かれていたのかもしれない。
キャンプ場まではあと5キロ。
空を見てもまだまだお日様はしっかり高いところにいる。ちょっと休憩しても問題無いだろう。少しだけ休んで行こうかな。と思い、100メートルくらい先の、ボロボロの椅子だけがポツンと置かれているバス停で一休みすることにした。
次のバスは、3時間後か。
この辺りは一応道路は舗装されているが、民家も少なく、会社や工場も無く、車の往来自体もほとんど無い。当然バスの利用者も限られているため、1日の運行本数は3本という、必要なのかどうなのかすら怪しい路線だ。雨風にさらされてすっかり塗装もはげ落ちた木製の椅子に座り、なんとなく乗ってきたマウンテンバイクを見てみると、後ろのタイヤが少しへこんでいる気がした。
まさか
嫌な予感というのはよく当たるもので、後ろのタイヤを調べてみると、どこかで何かを踏んだらしく、パンクしかかっている。
どうしよう。このままバスを待って帰るか、強引にマウンテンバイクに乗ってキャンプ場まで行き、明日親に迎えに来てもらうか。ここからの道は舗装もそこまで整備されておらず、正常なタイヤの状態でもかなり体力を使う。その上、このタイヤの状況では、あともって1キロだろう。そこから荷物を背負ったまま歩いてキャンプ場へ行くことは現実的では無い選択だという答えはすぐに理解できた。でも、どうしても諦めたくないという気持ちから、帰るという答えになかなか辿りつけない。今日諦めたら、次はまた1か月先になってしまう。流石に入試前に再々遊びに来られるほど気楽ではいられないし。
行きたい思いと、現実的に考えて諦める気持ち、もしかしたら、パンクじゃないかも なんていう現実逃避の考えとが頭の中をぐるぐる回っている。なかなか答えが出せないままタイヤをいじっていると、目の前を通り過ぎて行った一台の車がUターンして戻ってきた。
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