3章

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すると斎藤は聞かれたことが意外とでもいう感じで、 「勿論。君が迷惑でなければそのつもりだよ。じゃぁ予定決まったらまた連絡して」 迷惑なんてとんでもない。ありとあらゆる感謝の言葉を斎藤に告げたつもりだが、しまいの方は、自分でも何を言ったか覚えていない。それ程興奮していた気がする。最後に斎藤が 会えるのを楽しみにしてるよ と 言ってくれた声だけが耳に残っていた。 斎藤に会える。 祐介はただそれだけが嬉しくて、通話の切れたスマホを持ったまま、両手を上にあげてガッツポーズをし、 「先生 ありがと」 そう声を上げると、下の階から母親の 「祐介 何かあったの?夜遅いんだから静かにしなさい!」 という声が聞こえてきた。 あと一か月。また少し斎藤に近づくことができると思うと、気持ちが抑えきれず、意味も無くベットの上で転げまわったりして興奮を収めるしかなかった。
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