3章

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その反面、それまで同年代の子よりも、若干幼さの残っていた祐介が、斎藤と付き合いだしてから、顔つきや、行動が少しずつ大人びてきて、これも斎藤の影響かと思うと、なんだか少し寂しい気がしている。 今日の服も、出かける直前まで子供っぽく無いかとやたら気にしていた。年上の彼女とデートにでも行くみたいねとからかうと、顔を真っ赤にして部屋から追い出されたのを思い出す。 あの子本当に斎藤さんと会うのかしら。 そう心配になるほど今日の祐介は浮かれていた。 斎藤の大学は祐介が住む所から2県離れており、日本の観光地としても有名な場所だ。観光シーズンはそこへ向かうまでは座ることができない程らしいが、今は紅葉の季節には少し早いからだろう、思った程新幹線の中も混んでおらず、ゆっくり座る事ができた。 先日の電話の後、自分の学力や、学校案内等を検討して新しい志望校の候補を2つ選んでみた。どちらも斎藤の大学からほど近い場所にある。担任がくれた用紙には、他の大学も色々載っていたのだが、斎藤の近隣の大学へ無意識に目がいってしまう。別にこれが最終決定というわけではないし、とりあえず、今回は見に行くのに、志望校だと思って行った方が気持ちが入りやすいから。などと、誰に聞かれるでもないのに、理由をこじつけていた。今日は斎藤の大学へ行った後、そこへ連れて行ってもらう事になっている。
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