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恥ずかしながら私は、一週間も寝込んでしまった。
「まああなた、どうなすったの」
仕事の方も休んでしまい、すっかり痩せて、妻に心配させしまったうえ、周りにも迷惑をかけてしまった。
それからさらに一週間後、ようやく職場に復帰した私に、部下が嬉しそうに報告に来た。
「私の立ち会いの元、あの男の書いた譜面は、全て焼却処分しました!」
「なんとバカなことを…」
私があの男のことん快く思っていないと察していた部下達は、褒めてもらえるとでも考えていたに違いない。
私がそう言って顔を覆ったのを見ると、あたふたと動揺し、いい訳を始めた。
「あ、あの男は肺結核に罹患しておりました!
ゆえに、持ち出される可能性のあるものは、全て、早急に焼却せざるを得なかったのであります!」
その後も散々いい訳を続ける彼を“もういい”と下がらせ、私は紙巻煙草をやりに、屋上へ上がった。
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