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なんだ…これは!
その時の衝撃は、今でも忘れることができないものだった。
私がこれまで聞いてきたような、西洋クラシックのリズムを取り入れ、それでいて、物悲しい情緒や湿った情感は間違いなく日本のもの。
「荒城の月」
の題名に、旋律と詩がマッチしていて、閉じたまぶたの裏側に、かつての勝利に花見盃を酌み交わした武将達の情景と、今、荒れ果てた城の景色が次々と浮かんできて───
「あらまあ、あなた。どうなすったの?」
気がつけば滂沱の滝のような涙を流して、家内に笑われてしまった。
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