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「あの娘は転勤したよ。私達は転勤族だから」
確かに、たまに遊んでいた子がいつの間にか姿を見せなくなることが多々ありました。その子達もみんな「転勤」だということをBちゃんは教えてくれました。
それからもAちゃんの「あの娘はダメ」「あの娘は嫌い」と、いう仲間外れは続き私は徐々にAちゃん達と遊ぶことを控えるようになりました。
「あーそーぼー!」
しかし、顔を出さなくなった私を心配したみんなが家を訪ねてきたのです。そこに何故かCちゃんの姿はなく不思議に思っていると彼女は転勤してしまったと聞かされました。その代わりに、今度はAちゃんと同じ年頃の男の子が加わっていました。
せっかく家まで来てくれたのに断ることも申し訳ないと思った私は、みんなの誘いに頷きました。その日は家の前の道路で、Aちゃんのリクエストにより渡り鬼をすることが決まりました。
私達はそれぞれ車に注意しながら久しぶりに楽しい時間を過ごしていましたが、ふと隣にいる男の子のことが気になりました。
新しくグループに加わったということは、Aちゃんのお気に入りなのでしょう。学校の友達なのか寮の子なのかはわかりませんが、身長はグループの中では一番高く色白で知的な顔つきが印象的でした。
気になった私は話しかけようとしましたが、男の子は顔を背けるとすぐにAちゃんのいる場所に走って行ってしまいました。
人見知りなのだろうか。と、思っていましたが度々私を無視するような彼の態度に嫌な人だと思った記憶があります。
それから、何度か家まで迎えに来るみんなと遊ぶことになりましたが変わらず男の子は無愛想のまま。年も近いことからか、いつもAちゃんの隣にいました。
そのうちAちゃんの転勤が決まり、残されたBちゃんや弟は学年が上がるにつれて塾に通うようになりました。私自身も学校の友達と遊ぶようになり、次第にみんなで集まることはなくなりました。
やがてBちゃんの転勤が決まり、賑やかだった寮からは子供の声が消えていきました。
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