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節分の日に
2008年2月3日。
その日、私は高校時代の友人Mと、久々にファミレスデートをする約束をしていました。
が、朝からどうも愛フェレット寛太郎の様子がおかしい。
寛太郎は持病持ちのパスバレイフェレット。
誕生日が2001年の4月23日だったので、フェレットの平均寿命とされる6歳は超えているいわゆるおじいちゃんフェレットでした。
時折調子が悪い日もありましたが、前の晩までは普通に元気にしていて。
でも……朝起きてみるとケージの床でぐったりと横たわっていました。
取り乱した私は寛太郎を一緒に可愛がってくれていた当時の彼氏に泣きながら連絡しました。
彼は用事を全てキャンセルしてすぐに駆けつけてくれて。
Mにはドタキャンになってしまって申し訳なく思いながらも、彼氏の運転で寛太郎を連れて県外の病院へ走りました。(それは仕方ないよ!と快く送り出してくれたMに感謝でした)
今はどうかわからないですが、少なくともあの頃、フェレットをちゃんと診られる病院は本当に少なくて……。
手術などを視野に入れてたどり着いた主治医は、我が家の場合は高速を飛ばして1時間以上かかる場所にあったのです。
結局寛太郎は病院にたどり着く前に私の腕の中で息を引き取りました。
寒い寒い冬の日の出来事でした。
彼氏に途中で車を停めてもらって、少しずつ冷たくなっていく寛太郎の亡骸を抱きしめながら、病院へ電話して寛太郎が亡くなった旨を伝え、家で待つ母にも同様に連絡を入れました。
「寛太郎が死んじゃった……。病院、間に合わんかった……」
泣きじゃくる私に、母が優しく言いました。
「命あるものはみんないつか死んじゃうのよ? 寛ちゃんはうなちゃんにめちゃくちゃ可愛がられて愛されて旅立ったんだもの。きっと幸せだったよ」
と――。
それからたった4ヶ月半後に。
まさかそう言って私を慰めてくれた母が天国に逝ってしまうだなんて……その時の私は微塵も思っていなかったのです。
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