3ヶ月間が勝負

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 そのお話を聞いたのは3月下旬。  母が膵臓がんと診断されて割とすぐの頃でした。  当時母はまだ抗がん剤も始めていなくて……痛みも殆ど訴えていませんでしたし、何なら健康体と何ら変わりなく見えるほど。  なので「3ヶ月が勝負とか……何言ってるの?」って思ったんです。  だけど――。  3月17日に病気の診断がなされて、母の命が尽きたのがその年の6月20日だったことを思うと……3ヶ月が勝負、と言うのは真実だったんだな、と後から嫌というほど実感させられました。  きっとご自身の辛い経験と照らし合わせて……身を削るような思いでアドバイスを頂いたのに……。  私はそれを活かしきれませんでしたし、もちろん父や姉にもそんな話、微塵も出来ませんでした。  3ヶ月のリミットを知っていたはずなのに、それを活かせなかった自分をつくづく馬鹿だなと思いました。  でもね、最愛の母がたった3ヶ月余りでいなくなってしまうかもしれないだなんて……その時の私は思いたくなかったんですよね。  って言うか思えるわけないです。  そう考えると、「膵臓がんは病気発覚後から3ヶ月間が勝負」は、どうあったって「後から思えば本当にそうだったな」と思うしかない事案だったんだと思います。
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