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 病室を覗いてみると母はスヤスヤと眠っていました。  そういえば昨夜眠れなかった、って言ってたなぁ、と思った私。  いつもなら起こしてでも「バイバイ」を言うんですが、その日は父ともめたこともあり、自分の表情が厳しくなっていることが容易に想像出来ましたので何も言わずに帰ることに。  明日も会いにくるし、今日はもういいやって。  そうしてしまったことを今でも凄く後悔しています。  あの時、母を起こして「帰るね。また来るからね」って伝えていたならきっと母、だるくてもいつものように「またね」って手を振って投げキスをしてくれたと思うのです。  なのにあの日の私、さよならをせずに帰ってしまった……。  悔やんでも悔やみきれません。  病院からの緊急連絡に、父を起こして急いで病院に駆けつけてみると、目は開けているものの虚ろな様子で荒い息をする母がいました。  身体に心電図やらの線を沢山取り付けられ、変わり果てた姿の母を見てすごくショックを受けました。  「母さん」と呼びかけてもほんの少し手が動くか動かないかという反応を返すだけで、後はただただ荒い息を繰り返すばかり。  先生から今日、明日が山です、と言われました。  すぐに祖父母(母の両親)と母の兄妹、それから姉夫婦に連絡を取り、病院に来てくれるように伝えました。  母は大部屋から奥まった個室に移されていました。  ※死期の近い患者さんは、他の患者さんたちへの影響などを(かんが)みて個室に移されるようです。(頼んでいないのに家族が個室へ移されたら、そろそろなんだなと思わねばならないのかな?と思いました)
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