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 時間が経つにつれ、母の容体はますます悪化の一途をたどりました。  呼吸とともに漏れ出ていたうめき声が段々声量を増していったのです。 「母さん、つらいの? 苦しいの?」  いくら問いかけても何の反応もありません。  うつろに開かれたままの瞳には、もう何も映っていないようでした。  あまりに苦しそうなので先生に相談しました。  「何とかなりませんか?」と――。  そうしたら「モルヒネを点滴していけば楽になれるはずです。でも、そうすることで苦しみから解放されてスーッと心臓が止まる可能性もあります」と言われました。  そして同時に今の母の状態は頭にも癌細胞が回っているであろうこと、痛みなども本人が意識として認識出来ているかどうか怪しいということも告げられました。←多分先生のこの言葉は、真実ではあったのかも知れませんが、私たちの心を救う意味もあったのかな?と思います。  でも、どう見ても私たち家族には母は苦しんでいるようにしか見えませんでした。  思わず「もう頑張らなくていいよ」。  そう言わずにはいられないような、そんな状態でした。
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