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喉に痰が絡むたびに吸い出して頂いていたら、最後には痰に血が混ざるようになって……どうしてこんな可哀想な目にあわせなければならないんだろう、ってかなり後悔しました。
痰を取ってあげないと息が詰まって苦しそうで――。
でも痰を取れば喉や鼻の粘膜を傷つけてしまい、出血させてしまって……。
それに罪悪感を覚えてしまう。
母が息を引き取るまでの数時間は本当に辛かったです。
全てのことが可哀想で見ていられなかった。
母の血圧が段々低下して行って息を引き取ったとき、看護師さんが「耳はね、最後まで聴こえてるから! だから呼びかけてあげて?」っておっしゃって。
その言葉を信じてみんなで母に呼びかけながら……でも頭の片隅ではやっと楽にしてあげられた、とも思っている自分がいて。
そのくせやっぱり残されることが凄く辛くて悲しくて……。
泣き叫びながら母に取りすがって戻ってきて!とお願いしてしまいました。
そうして冷静になって……私は何て利己的なんだろう、って思ったりしました。
そして母も私の声に応えるように一度だけ戻ってきてくれて――。(フラットになった心電図に、呼びかけに呼応するみたいに一度だけ波形が戻ってきたのです)
それが切なくて苦しくて……私は母さんにどれだけ心配かけるんだろうって思いました。
母が亡くなったとき、母の気持ちを反映してか、外はより一層雨足が強くなって……まさに土砂降りでした――。
きっと母さんが泣いてるんだ。
そう思ったのを覚えています。
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