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当時私は実家に父と母と3人で住んでいて。
姉は結婚して家を出ていました。
姉に電話で母のことを話したら、とてもとても冷静に「膵臓がんなら予後がよくないね。色々覚悟して準備しなきゃいけないね」と言われたのを泣きそうになりながら聞いたのを覚えています。
「予後がよくないってなに? 準備するって何を? 姉ちゃんは母さんが死んじゃうって思ってるってこと?」
泣きながら言い募ったら「感情は捨てて現実を見ないと。出来ることが的確に出来なくなるよ? 姉ちゃんだって辛いけど……私は取り乱して現実を見失いたくない」と言われました。
私は姉に、千々に乱れる心を明かすのを躊躇うようになりました。
姉には頼れない、私が頑張らなきゃって変に肩肘張ったのを覚えています。
母が亡くなった後、父が私によく言うようになった、「お前はわしの戦友じゃけど、姉ちゃんは違う」と言うのは、きっと一緒に住んでいたから云々だけじゃなく、そういう部分もあったんじゃないかなと思ったりします。
そう、父と私は二人。
母さんのいないところでよく泣きながら辛い気持ちを吐露しあったのです。
私、外見は母似ですが、内面は父似だとよく言われます。
似たもの同士の父娘だったから。
お互いに辛い気持ちも手に取るように分かったし、掛けて欲しい言葉も何となく理解できたんです。
私は父に、父は私に救いを求めるように寄りかかっていました。
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