セカンドオピニオン

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セカンドオピニオン

 2008年6月3日。  今日は隣県の県立病院へ母の病状への色々な示唆(しさ)を与えて頂くため、父と2人で行ってきました。  こちらの病院は大きな病院で、田舎者の私たち親子には本当別世界。  最初に通されたのは緩和ケア科という、終末医療を専門にやっていらっしゃる病棟で、ここでのお話は何となく私たちが求めていたモノとはズレているように感じられました。  話していても、根本的に何かが違う。  私たちのその違和感を、先生と婦長さんは的確に感じて下さったらしく、面談後に婦長さんが近付いていらして「あなた方が求めていらっしゃるのは緩和ケアの情報ではなく、お母様の治療の可能性についてのお話ではないですか?」と。  そうなんです。  今日、私たちが一番伺いたかったのは…痛みの(ペイン)コントロールのことももちろんあったのですが、地元の病院で主治医から告げられた、「今週中に抗がん剤をやりましょう」と言われたことに対するアドバイスだったんです。  実は私も父もすごく迷っていました。  抗がん剤を受けさせるべきか、受けさせざるべきか。  1クール目の抗がん剤治療は何とか乗り越えた母ですが、2クール目が始まったと同時に体調がガタガタになり、抗がん剤治療はおろか、日常生活もままならない状態になってしまいました。  それが脳裏をよぎったから。  地元の病院の先生は「今回は前回までのようにTS-1(飲み薬タイプの抗がん剤)との併用ではなく、ジェムザール(点滴タイプの抗がん剤)だけで頑張ってみましょう」とおっしゃいました。  その時、私たち家族は「(TS-1は中止されたとはいえ)抗がん剤が再開できるんだ!」という喜びで一杯になりました。  でも少ししたら、以前抗がん剤をやったとき、母が体調不良でガタガタになってしまったのを思い出してしまったんです。  それで、迷っていました。  抗がん剤をやることで母をますます弱らせてしまうのではないか――と。
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